前世の物語
そなたは一頭の馬として、咸鏡道のとある草原に生まれた。そなたは小柄な在来種の馬であった。そなたの母は大きな茶色の雌馬であり、父は別の群れにいた。幼き日のそなたの最初の風景は果てなき草原と風であった。 一ヶ月になった頃、そなたは初めて駆けた。脚が長く最初はぎこちなかったが、すぐに自由になった。馬は駆ける獣であった。止まることよりも駆けることの方が自然であった。一度駆け始めれば、そなたは止まりたくなかった。 六ヶ月になった頃、そなたは群れに加わった。群れは二十頭ほどで、頭目は老いた雄馬であった。群れの中でそなたは社会の掟を学んだ。階級、協力、そして共に駆ける喜びを。 一歳になった年、ある人間が群れを取り囲んだ。彼は馬を捕らえようとする者であった。群れは散って逃げたが、そなたは捕らえられた。彼はそなたに頭絡をかけ、そなたを自分の農場へ連れて行った。その日からそなたは人の馬となった。 最初はそれを受け入れられなかった。そなたは自由な草原を懐かしんだ。彼はそなたを馴らそうとし、そなたは幾度も逃げようとした。しかし結局そなたは受け入れた。彼がそなたを良く扱ってくれたからだ。彼は良き草を与え、温かき馬屋を与えた。 三歳になった年、彼はそなたをある武官に売った。その武官は辺境で働く者であった。そなたはその武官と共に辺境へ行った。そこでそなたは真の馬となった。毎日武官と共に駆けた。山と野と川を越えて。そなたはその武官を好み、彼もまたそなたを愛した。 五歳になった年、最初の戦闘があった。女真族の侵入であった。そなたは武官の命に従った。敵の矢が飛び、敵の刀が振るわれた。そなたは恐れたが、武官と共にいることが恐れより大きかった。その日武官は生きて帰り、そなたもまた生きて帰った。 八歳になった年、そなたと武官は大きな戦に加わった。武官は大きな傷を負った。そなたは傷ついた武官を背に乗せ、敵陣を抜けた。そなたは止まらなかった。百里を駆けて安全な場所まで。武官は生き残った。彼はそなたのお陰で生きたと言った。 十歳になった年、そなたらは穏やかな時を迎えた。武官とそなたは共に老いていった。毎朝共に駆けた。速くなくとも、依然として自由に。そなたは武官にとって家族であった。 十五歳になった年、武官は老いて軍門を退いた。彼は故郷に戻り、そなたも共に行った。そこでそなたは彼の小さな農場で暮らした。もはや戦場には出なかった。しかし毎朝彼と共に野を一巡り駆けた。それがそなたの運動であり、楽しみであった。 二十歳になった年、武官が去った。老いて去ったのだ。そなたもまたその日、一度長く嘶いた。馬の嘶きは大きな音であった。村人らはそれを聞いて、武官の死を知ったと言う。 二十二歳のある春、そなたもまた最後の駆けを行った。そなたは武官の墓のある山へと駆けた。そこに着いて、そなたは止まった。そしてそのまま横たわった。二度と立ち上がらなかった。 村人らはそなたを見つけ、武官の墓の隣に葬った。「主の元へ行ったのだ」と彼らは言った。 駆けてこそ生きている ― それがそなたの生涯であった。そなたは一人の人と共に駆け、一人の人と共に終わった。そなたの魂は今もどこかの野で、自由に駆けているであろう。風と共に。




